花子の悩み相談室!
第三話『彷徨う銅像』
作:天爛
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『花子の悩み相談室!』及び関連作品は流離太さんのサイト『
柿ノ木レオの心霊ファイル』をご参照ください。
花子、いっきま〜す♪
おかっぱと赤い吊りスカートがチャームポイントの美少女。
元男子中学生で、今は幽霊やってる。
なんでこんなことになったかというと、ある日突然女の子になってたっていうわけ。
その後、クラスメイトの視線に耐えられなくて自殺したんだけど……今思えばこの体を使ってもう少しなにかできたかもと思う。
まあ、トイレで生徒達の噂話聞いたり、今はなんとか楽しくやってる。
トントントン
「は〜な〜こさん、話しましょ♪」
……、やっぱりやらないといけないのか?
あれはけっこう恥かしいものがあるんだが……。
「はぁ〜い♪」
うわっ、自己嫌悪。いくら規則だと言え、可愛い声で返さないといけないというのはちょっとないよなぁ?
にしても誰だ?
肝試しにはまだ早いし、この時間に生徒がいるはずないんだが……。
それに声からしてブキミでもないしなぁ。
ギィ〜。おどろおどろしくドアを開けて外を除き見る。
そこには薪を背中に担ぎ、一冊の本を手にした緑色の青年がいた。
そう、そいつは・・・
「すまん、だれだっけ?」
「ひ、ひどい。そりゃ、僕は確かに花子さんに比べたらマイナーだし、階段やトイレみたいにどの学校にでも絶対有るってモノじゃないですけど、それは酷すぎますよぉ〜」
とか言ってやつは走り去ってしまった。
あぁ、この学校にもあったんだな、金次郎像。全然知らんかったぞ?
……でもなんの用だったんだ? あいつ。
トントントン
「は〜な〜こさん、話しましょ♪」
ちっ、戻って来やがった。いや、戻ってくること事体はいいんだがいちいちするのは止めれ。
また返事しないといけなくなるじゃね〜か。
「はぁ〜い♪」
うわっ、本日2度目の自己嫌悪。やっぱこれはないよなぁ?
「ひどいですよぉ、はなこさぁん」
「すまん、冗談だ。だがら俺に泣きつくな」
「は、はいぃ」
「おまえ、金次郎だろ?」
「は、はい!」
「……遠山の」
あっ、固まった。
「……」
「……」
――そして、時は動き出す……
「て、てめえ、あの日あの夜あの場所で、見事に咲いた遠山桜夜桜を、よもや見忘れたとは言わせねぇぜ!」
「おぉ〜」
「って、ちがうんですよぉ〜〜」
と、ドッブラー効果を効かせて金次郎は再び走り去ってしまった。
あっ、そういや遠山は金四郎だったな……、まあ、いっか。
……ところであいつ戻ってくるんだよな? また呼び出されるのも嫌だしここで待ってるか……
おっ、戻ってきた。
「おかえり。」
俺のその言葉を無視して俺の部屋(?)の前に立った。
ん? あいつ、何するつもりだ?
やつは三回ノックをするとにやりとしてこちらを見た。
……、もしかして復讐? 俺が返事するのを嫌がっているのを知っててワザと!? プチリベンジというやつですか!?
「ちょっ、すまん、謝るからやめ……」
俺の健闘虚しく、決着の鐘は無常にも鳴らされた。
「は〜な〜こさん、話しましょ♪」
それと共に金次郎の「やらないの?」という邪悪な視線……。
「はぁ〜い♪」
くっ、屈辱。
「で、なんのようだ?」
「え〜と……」
「……、もしかして忘れたとは言わんよな?」
「そ、そんなことは、な、ないですよ?」
金次郎の額に汗が光る。
「だよな。三回も俺にアレをやらしといて忘れたは無いよな?」
「は、はい……。」
「で、なんのようだ?」
「あはははは……。」
俺の部屋に金次郎の乾いた笑い声が木霊する……。
「……、ごめんなさい、忘れました」
瞬間、俺の中でプッチン・プリンとなにかが弾けた。
「てめぇ……一辺死んで来おおおおおおおおおいっっ!!」
「……で、やってしまったと?」
「はい、まさかアヤカシにも効果あるとは思わなかったので……」
翌日、突然現れた勤勉少女像――二宮銀子像――が噂になったが、無くなった金次郎像に関しては誰も気付かなかったと言う……。
その周りは黒山の人だかり。早く言えばフィギュアオタクどもの集まりだ。
「ポニテ萌え!」
「す、スカートからはみ出した緩やかな脚線美……たまらん!」
うわあ、こいつら全員の首を絞めてやりてえ。
「うふふ。すっかり人気者よねえ、金ちゃん」
そう言って俺の横から湧いてきたのは、ブキミ。ていうか、今回出てこないかと思ってた。
「まあ、願いが叶ってよかったわ。前から、お姉さまみたいな人気者になりたいって言ってから」
ああ、あいつの相談ってそれか。まあ、結果オーライ?
(で、でも……恥ずかしいですう!)
おー、顔なんて赤らめちゃって。泣くな銀子、今のお前は輝いてる。銅像だけに。
それにしても、ホーリー・メイデンズ。お前らだけでも気付いてやれよ……。
≪おまけ≫
ブキミ:ところでお姉様?
花子:ん?
ブキミ:冒頭ガンダムネタはいいんですけど、アレって挨拶じゃないですよね?
花子:……。認めたくないものだな、自分自身の、若さゆえのあやまちというものを……
《後書きというかなんというか》
流離太さんに許可を頂き、設定をお借りして書かせて頂きました。
また、掲載に当たり流離太さんに多少の手直しをして頂きました。
流離太さん、本当にありがとうございます。