神取八百万 In 天生鈴音
神取八百万 In 天生鈴音
 誰かにパジャマの裾を踏まれ、すっころんでしまった。

「痛ひ……」

 その痛さで目が覚めた僕は、やっと体の異変に気づいた。
 まずは声。本来の僕の声異なりとなり、声変わり前の子供のような ―― それもどこかで聞いた事がある声に変わっていた。
 次に視線の高さ。いま僕は床の上にしゃがみこんでいる訳だけど、それを踏まえた上でいつも以上に低くなっている。立ってみても変わらない。いや、それ以上に差がはっきりした。
 最後に服。寝る前にはちょっと大きめ程度だったパジャマが、今は明らかにダブダブになっている。でも服の柄は変わっていないから、パジャマが違う物に変わった訳ではないらしい。
 ……結論、僕はなぜだか縮んでしまったらしい。

 余りにも突拍子なさ過ぎて逆に冷静になる。後で爛さんに電話して聞いてみよう。
 我らがフシケン会長で魔術師でもある爛さんなら、なんか分かるかも知れない。
 というか、もしかしたら爛さんが犯人かも。普段、光輝にしてる事を考えたら十分に考えられるし。


 取り敢えず、どんな感じになっているのか洗面所にある鏡で確認しよう。と思ったけど届かなかった……。
 仕方なく勉強机から椅子を持ってきて、再挑戦。椅子の上に立ち、覗き込んだ鏡の中には子供時代の僕。ではなく ――

「 ―― なんでリンちゃん?!」



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