讃鬼華乎
讃鬼華乎
「こ、これが、拙者・・・、でござるか?」
 鏡に映るは絶世の美少女とまでは行かぬまでもかなりの美少女でございました。元来、女顔であった上に、璃胡ならずとも殆どの者が将翔が女ならばと一度は想像したことがある程であったのだから美しくなるのも道理でございましょう。
「にしても何故そのような姿に?」
「それは・・・」
 将翔は父と母に道場での事をつぶさに話したのでございます。
「そうですか、白い天女様が・・・。ありがたやありがたや。」
「しかし、血族から男から女になったものが出たとあれば讃鬼家の名折れ。どうしたものか。」
「貴方、それは大丈夫だと思いますよ。」
「それは何ゆえにそう思うのだ?」
「華乎。おまえ、天女様に家を守る為にということもお話ししたのですよね?」
 そう璃胡は言って、将翔の方に顔を向けたのでございます。
「華乎? 拙者のことでございますか?」
「えぇ、そうです。いつまでも将翔でいる訳にはきませぬでしょ?私の名前と天女様の名前を併せて『かこ』。漢字は『華を呼ぶ』からくち偏を取って『華乎』にしましょう。いいですね、貴方?」
「あ、あぁ。それで良かろう。」

From ハンターシリーズ『小夜神楽』・試作


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