【夜の恐怖】ナイトテラー
【夜の恐怖】ナイトテラー
 
 また声がした。声変わり前の少女を思わせる何処か中性的な声だ。
 再度、見回して見たがやはり誰も居ない。
 一体、何処に……
 
  ―― ドコ? 私は此処。貴方の目の前。そうソコに私は居る。
 
 確かに居た。俺の目の前。本来、俺の姿を映しているべき鏡の中に。一人の少女が。
 いや、正確に『少女』と言って良いのだろうか。この、人に有らざる特徴を持つ『少女』を。

 その『少女』の長い漆黒の髪がある頭には、豹を思わせる獣の耳があった。
 その『少女』の可愛いとも取れる美しい顔には、燃え上がる炎を宿した瞳があった。
 その『少女』の闇を思わせる黒い服の後ろには、猛禽類の物と思しき鳥の翼があった。
 この、人に有らざる特徴を持つ『少女』を、なんと呼べばいいのだろうか。
 この『少女』は一体……
 
  ―― ワタシ? ワタシは悪魔。【夜の恐怖】ナイトテラー。数多いる悪魔のその1柱。


From 『これは夢オチ 番外編 「ナイトテラー」


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